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【インタビュー】取締役/コーポレートデザイン本部長 木村 健

【インタビュー】取締役/コーポレートデザイン本部長 木村 健

今回のインタビュー

木村健  取締役コーポレートデザイン本部長  

プロフィール

2002年、武蔵大学社会学部を卒業後、食品会社・人材ベンチャーを経て、システム会社入社。

管理部門ディレクターを務め、子会社取締役を兼任。2018年10月、同社を退社。同年11月にビズメイツ株式会社に入社後、管理グループディレクターを務め、2020年4月に同社取締役コーポレートデザイン本部長に就任。

上場準備は「仲間集め」
創業者の想いと覚悟に応える管理部門の取り組み

ビズメイツは、2023年3月30日に東京証券取引所グロース市場に上場いたしました。上場準備を牽引した取締役コーポレートデザイン本部長の木村さんに、上場までの道のり、そしてこれから目指す姿について伺いました。

-上場に至った経緯や背景について教えてください。

当社が上場を意識し始めたのは、私が入社するずっと前の、2015年末頃と聞いています。2012年7月に会社を設立し、同年11月にオンライン英会話「Bizmates」の提供を開始して3年ほどたった頃ですね。その数年後に本格的にプロジェクト化したわけですが、目指した理由を端的に言うと、自分たちが掲げたミッション・ビジョンを実現するため、ということになると思います。

創業者が投資回収するための出口戦略は、一般的にIPO(新規株式上場)かM&A(企業、事業の合併・買収)の2種類で、昨今は徐々に変化している様ですが、日本ではやはり前者がメジャーです。IPOは資金調達と併せて経営の自由度もある程度確保できるメリットがありますが、準備に膨大な時間とコストを要します。また、上場後はステークホルダーへの責任が増す険しい道のりのため、覚悟と自信がないと取れない選択でもあります。当社の創業者は、社会的な責任を負っていく覚悟、そして持続的に会社を成長させていく自信があったからこそ、この道を選んだのだと考えています。

-当社は上場するまでどれくらいの期間がかかったのでしょうか?

当社は、主幹事証券会社と監査法人の双方と契約をした2019年から正式に準備が始まり、2023年3月に上場したので、約4年かかりました。これは割と順調な部類であると聞いていますが、それまで代表の鈴木が、事業成長と併せて財務・労務・株式状況などに関して意識しながら経営をしてくれていたからこそだと思います。なので、準備開始時は上場基準からすると当然未整備なところはたくさんあったものの、入社した時点で「とてもきれいな会社だな」と感じたのを覚えています。

-上場準備責任者として、どのように進めて来られましたか?

今振り返ると、私にとっての上場準備は「仲間集め」そのものでしたね。

準備のスタートは主幹事証券会社と監査法人のショートレビュー(※1)を受け、課題を明らかにすることから始まります。指摘事項は経理以外にもコンプライアンスや予算管理等、経営管理体制全般に幅広くかつ専門性も高いため、当時の体制ではとても対応できません。なので事業の成長に合わせて管理部門の体制を強化してきましたが、これは順調に事業が成長して来たからこそ可能な事だったと思います。

また、ガバナンス強化のための機関設計も、同様の理由で早めに取り組むことができました。会計士・弁護士・税理士の各専門家で監査役会を組成し、他上場企業の創業社長に社外取締役を引き受けてもらい、取締役会で色々と意見をもらえる様になったことで、私たち経営陣も徐々に鍛えられて行ったと感じます。

さらに、直前期には「自分の背中を任せられる」各部署の責任者クラスが揃う事で、自分の兼任を解くことができました。それにより、専門性の高い各責任者に、よりレベルの高い仕事をしてもらいながら、外部との折衝や調整に時間を割ける様になったのは、とても恵まれていたと思います。

(※1)参照:日本公認会計士協会 新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック(P5)
https://jicpa.or.jp/news/information/docs/120409_JICPA-IPOGuideBook_finish2.pdf

-この段階でつまづく場合もあると思いますが、なぜ当社は順調に進んだのでしょうか?

私自身もそうですが、当社に入社または協力してくれる人たちは、もともとサービス・事業内容やミッション・ビジョンへ共感してくれているというのが、大きいのではないかと思います。上場はあくまで通過点であるという共通認識のもと、一緒に会社の将来を見てくれている。逆に言えば、そういう人たちを集められたからこそ、IPOも実現できたのではないかと思います。

-当社の可能性を信じて、もっと世の中に広めるべきだと思ってくれたということですね。

そうですね。当社は品質の高いサービスと強いビジネスモデルを持っていて、社員も多様性があり魅力的な人たちが多い。だから、絶対に表舞台に上がるべき会社だと、私もずっと思っていました。準備の過程では様々な試練がありましたが、根っこに共通項があったからこそ、ここまでやってこれたのではないかなと思っています。

-ミッション・ビジョンへの共感が成功の秘訣だったんですね。そのなかで最も苦労したことは何ですか?

本当に課題だらけのスタートでしたし、フェーズによっても異なりますが、当社の特徴としては、やはり日本だけではなくフィリピン子会社と足並みを揃える必要があったことかと思います。

フィリピン子会社は主力事業である「Bizmates」の強みの源泉である講師の採用や管理を行うので、当社のサプライチェーンの最重要ポイントと言える存在です。そのため、審査上も重要な子会社として日本同様の経営管理体制が求められました。しかし、一方で言語や文化の違い、物理的距離の問題があるうえ、準備期間はほぼコロナ禍で行き来もできないような状況でした。

-そのような中、どのように連携を図っていったのでしょうか?

まずは責任の所在を明確にしました。子会社の最高経営責任者(CEO)である伊藤はフィリピンの状況を正確に報告する責任があり、私は日本側の要求を明確に伝え、進捗を確認して行く責任があります。私と伊藤とフィリピンの最高執行責任者(COO)であるアンナも含めた定例会議を行い、地道に日比双方で課題を解決し続けて行きました。

-フィリピン側も日本の要求に対応するのは大変だったと思いますが、上手く連携できた秘訣はなんですか?

はい、私も余裕が無かったので遠慮なく無理な要求をしていきましたから、本当に大変だったと思います。上場準備中の内部統制に関する要求事項は、日本側においても対応に苦慮するものがたくさんありました。なので、そもそも法律や商慣習も全然違う人たちにとっては、必要性を感じてもらう事すらも難しかったと思います。

そのなかで、結果的に上手く行った要因は、やはりCOOのアンナの存在です。彼女は現地スタッフからの信頼が厚く、日本のパートナーとして強いコミットを持ち、確実に業務を遂行するプロフェッショナルです。日本からの要求は、短納期であったり、なかには必要性を完全に理解できないものもあったと思いますが、いつでも短く「わかった」と答え、確実に進めてくれました。

また、そんな彼女がいるからこそ、準備中にはフィリピンにおいてもキーマンとなる幹部層が続々と揃っていきました。みな若く、プロフェッショナルで、着実に業務を進めて行くので、途中で監査役から「フィリピンを見習うべき」と嫌味を言われるようになりました(笑)。それらの幹部たちは驚くほど優秀で、第二言語の英語を使ってビジネスで実際に成果を出しているわけですから、この人たちこそビズメイツの理想とする「世界で活躍するビジネスパーソン」を体現しているなと、いつも思っていました。

 

「成長」こそが全てのステークホルダーの
期待に応えるための最大公約数


-今回、晴れて上場したわけですが、一番の変化はなんでしょうか?

今まで以上に多くのステークホルダーに対して、期待に応える責任が強まり、同時に社会に貢献できる余地が拡がるということだと思います。

-期待に応えていくために、重要な事はなんでしょうか?

全てのステークホルダーの期待に応えるための最大公約数は、やはり成長(スケールすること)だと思います。

会社が成長して投資余力が拡大すれば、サービスを進化させる事によって、お客さまへ体験価値やサービス品質というかたちで還元できます。社員にとってはより高いレベルで仕事をする機会がキャリアの向上につながり、取引先にとっては取引規模の拡大というメリットがあり、株主にとっては企業価値が高まることで還元できる。

増益すれば政府に対しても同様ですし、企業規模が大きくなれば企業の社会的責任(CSR)や持続可能な開発目標(SDGs)等の取り組みで社会に貢献できる余地も拡がります。

社員一人ひとりが、「自分の成長→会社の成長→(自分も含む)ステークホルダーへの還元」の流れを、よりイメージできるようになると、すごくいいですよね。上司が言うからやるのではなく、自分も同じ船に乗っているステークホルダーの1人であるという見方ができると、「働くこと」に対する捉え方が、より豊かになるのではないかなと思います。

-「成長していける会社」をつくるための組織づくりで、重要な事はなんでしょうか?

一つは、バリュー(※2)を体現する組織を作ることだと思います。私たちがステークホルダーの期待に応える様な大きな成長を遂げるには、今までに無いサービスやテクノロジー等の「新しい価値」を生み出していくことが必要です。そのためには、創業者が成長を牽引してきたこれまでの組織から、社員や社外も含めたネットワークによってイノベーションを誘発する組織への変化が重要であると考えています。仕事の仕方や関係性を変えることは時間の掛かる取り組みですが、持続的成長のために地道に進めて行きます。

もう一つは、「攻め」と同時に「守り」のバランスを取ることだと思います。成長のためには人も組織も挑戦が必要ですが、不確実性の時代においては特に、その前提としての堅実な経営管理体制が重要であると考えています。上場企業としての管理体制をさらに充実させ、多くのステークホルダーの信頼に足る組織にして行くことが、長期的観点での企業価値向上につながると思います。

(※2) 参照:ビズメイツ株式会社の3つのバリュー
https://www.bizmates.co.jp/philosophy/

業界の概念を壊し
「こだわりぬいた」サービスを提供していく

-今後の展望についてお聞かせください。

現在当社は、主力事業のポジショニングや収益力の高さについて、幅広いステークホルダーから一定の評価を頂いていると思います。また、当社のビジョンや事業内容の社会貢献性に共感いただけるケースも非常に多いです。だからこそ、今以上に大きく成長して行くことが、強く期待されていると感じています。

ここでは詳細を割愛しますが、当社は成長可能性資料のなかで主に5つの戦略を掲げています。主力事業のオンライン英会話「Bizmates」における、初級者層の開拓、コーチングマーケットの獲得、オフライン市場の開拓、そしてテクノロジーの活用 。人材事業においては採用支援の事業拡大です。これらを軸にサービスの進化と事業の拡大を目指し、期待に応えていきたいと思っています。

-管理部門が今後注力することについて教えてください。

管理部門は「守り」一辺倒と思われるかもしれませんが、私は「攻め」の側面の役割も重要だと考えています。新しいことを成し遂げていくとき、仲間集めから始まるのは必然ですので、「攻め」の採用活動を行うことは成長に直結する機能だと思います。また、その方法は採用だけではありません。上場のメリットは調達に加え信頼度や知名度向上による情報の流通量増加も含まれますので、それらを活かした戦略の展開をしていきたいと考えています。その意味で、持続的成長とは自分たちがやっていることや、これからやろうとしていることに、共感してくれる人たちを探し続ける旅路なんだと思います。

-最後に、木村さんの考えるビズメイツという会社の存在意義を教えてください。

当社が今までやってきたことの一つは、業界の再構築だと思います。

創業時から、語学学習市場のオンライン化は既に進んでいたものの、英会話業界から本格的に参入して行ったのは当社が初めてであったと認識しています。だからこそ、サービス品質と利便性・手軽さを両立することができて、その結果多くのお客さまに支持していただけたんですよね。なので、当社はオンライン語学学習市場において、上達実感や学習体験という観点でどこよりも品質にこだわり抜いて、サービスやプロダクトを進化し続ける責任があると思います。

また、もう少し俯瞰的に見ると、多くの人たちから期待されていることは、当社のパーパスである”人と企業が成長しあう多様性のある豊かな社会”の実現だと思います。

「Bizmates」は英語の勉強だけが目的ではなく、多くのビジネスパーソンが言葉・文化・慣習等を乗り越え、多様な人たちと信頼関係を築いていけるようになることが、個人と企業の成長につながり、ひいてはそれが豊かな社会を実現するための重要なピースになるというコンセプトです。だからこそ、外国人に対しても日本語学習や日本企業との出会いを支援するサービスを展開しています。パーパスに紐づくのであれば、さらなる事業展開の可能性も当然あります。

僕等のやっていることはたくさんの人や社会の役に立つ事だと思うので、多くの人たちに知ってもらい、応援してもらって、同じ船に乗ってくれる人たちが増えて行ったら、もっと楽しい旅路になって行くでしょうね。

 

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