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【インタビュー】Bizmates Philippines, Inc. CEO 伊藤 日加 / COO アンナ マリア フランシスコ

【インタビュー】Bizmates Philippines, Inc. CEO 伊藤 日加 /  COO アンナ マリア フランシスコ

今回のインタビュー

伊藤日加  Hika Ito ビズメイツ株式会社 取締役 兼 Bizmates Philippines, Inc. CEO 
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プロフィール

カナダで生まれ育ち、1996年来日後、英語教師として、ベルリッツ・ジャパンに入社。その後、同社4校における主任教師として、教師の採用およびマネジメント、品質管理を担当し、4年連続エクセレントパフォーマンス賞を受賞。2008年より本社商品開発マネージャーとして、世界のベルリッツで使用されているビジネス向け教材、企業向けカスタマイズ教材の開発を行う一方で、企業向けのセミナー講師を担当。2012年6月、同社を退社。同年7月にビズメイツ株式会社を設立、取締役に就任。

アンナ マリア フランシスコ(愛称:ミネット)
Anna Maria Francisco Bizmates Philippines, Inc. COO 
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プロフィール

フィリピン大学経済学部卒業後、シドニー工科大学大学院(情報工学)修了、 米国国際大学 経営学修士(MBA)取得。その後フィリピンのIT会社でテクニカルディレクター、アジア・パシフィック・カレッジの学部長を務める。2001年、ベルリッツ・ジャパン株式会社に入社。英語教師を担当後、ビジネスコミュニケーションプログラム(BBCS)の立ち上げ、開発およびトレーナーを担当。2009年に同社を退職し、フィリピンのライシーアム大学(LPU)で学部長を務めた後、2012年8月、ビズメイツ・フィリピン株式会社のChief Operating Officerに就任。

Vision & Strategy

 ビズメイツは、ビジョン達成のためにフィリピン現地子会社のBizmates Philippines, Inc.(以下「Bizmates Philippines」)と連携しながら事業を展開しています。その挑戦を牽引するBizmates Philippines 最高経営責任者(CEO)の伊藤 日加(以下「Hika」)と、最高執行責任者(COO)のAnna Maria Francisco(以下「Minette」)に、取り組みと戦略について伺いました。 

 Bizmates Philippinesは2012年8月に設立したビズメイツの子会社です。同社はビジネス特化型オンライン英会話「Bizmates」において、高品質、且つ安定的にレッスン提供することを目的として設立されました。質の高いレッスンを提供するためのトレーナー採用、育成に尽力しながら事業規模を拡大してきました。現在では世界各国に2,000人(※1)以上のトレーナーを有するまでの成長を遂げています。

 今後は、優秀なトレーナーの採用や育成事業だけに留まらず、ビズメイツとの強固な連携を活かしながら新しい価値の創出を行うことで、さまざまなシナジーを生み出し事業を加速させていきます。今回の記事では同社の設立から現在、そしてBizmates Philippinesが描く未来への展望を共同創業者の2名に語っていただきました。 

※1)2023年5月現在

Bizmates Philippinesの
成り立ちと成長

-Bizmates Philippinesを設立した際のミッションについてお教えください。

Minette:設立当初のミッションは“Creating true partnership”です。日本語にすると「本当のパートナーシップをつくる」という意味になります。私たちが提供しているビジネス特化型オンライン英会話「Bizmates」 のゴールは“英語力を高めること”ではなく、“ビジネスで成果を上げること”です。英語を教えるのではなく、グローバルで活躍するための支援をする。ですので、「Bizmates」のトレーナーは“英語講師”ではなく、受講生にとっての“ビジネスパートナー”だと考えています。そういう意味で、「真のパートナーシップをつくる」というミッションは、受講生を意識して策定しました。 

Hika:オンライン英会話では受講生とトレーナーとが1対1でレッスンを行う仕組みとなっているのでトレーナーの質の高さがサービスの満足度を左右する大きな要因の一つとなります。もちろん、当社では教材に沿ってレッスンを実施していますが、トレーナーが受講生のレベルやその日の状況に合わせて、レッスンを最適化して提供するよう工夫をしています。受講生にとってトレーナーの存在は大きいため、トレーナーはただマニュアル通りに英語を教えていればいいというマインドでは務まりません。先ほどMinetteが言った通りトレーナーは“ビジネスパートナー”であるというマインドを全員が持つことが大事だと考えています。  

-なぜ、「フィリピン」に子会社を立ち上げたのでしょうか? 

Hika:大きな理由は主に2つあります。1つはアジア圏で、極めて英語力が高いのがフィリピンの人々だからです。同国では小学生から英語の授業が始まり、また国語と歴史以外の教科も英語で教えられるので、必然的に英語が身につく環境にあります。

もう1つは“家族を大切にする文化”が根付いているため、自宅勤務を希望する就業者が多いことがあげられます。地方から都市部への出稼ぎが一般的なフィリピンの労働環境において、家族の元で働くことができるオンライン英会話のトレーナーはニーズが高く、優秀な人材を確保しやすいという背景があります。  

Minette:フィリピンの人々がトレーナーに向いているという点も魅力でしょう。先述の通り、フィリピン人は第二言語として英語を学んでいるので、日本人の受講生の気持ちを汲むことができます。ノンネイティブならではの体系的な学習を提供し、上達に伴走してくれるのです。また、同国の人口ピラミッドはきれいな三角形で、子どもの数が一番多く、高齢になるほど人口が徐々に減少しています。今後も労働人口が増え、経済成長が見込まれると言われているため、受講者数が増えてもトレーナーの数を担保できるという点も理由の一つです。  

-フィリピンでの会社設立から事業を開始するまでにはさまざまな出来事があったかと思いますが、特に印象に残っている出来事を教えてください。

Hika:トレーナーの募集広告を初めて出してからわずか2~3日で、500人を超える応募があったんです。当社でトレーナーとして働きたいと思っている方がこんなに多くいるなんて信じられませんでした。その後、選考を進めサービス開始時は13名のトレーナーでのスタートとなりました。トレーナーは企業でマネジメント経験がある方、コミュニケーション能力が高い方、中にはMBAを取得している方など様々でしたが、トレーナーとしてのスキルや資質が非常に高く、好調なスタートをきることができました。

もし日本でトレーナーを募集していたら、これほど高い英語力と指導力を持った応募者を集めることはできなかったと思います。このような出来事が、フィリピンでトップクラスのトレーナーを採用する自信となり、結果的にビジネスの成功につながりました。 

Minette:私にとって、会社を立ち上げるのは初めての経験で苦労の連続でした。私は9年間日本で勤務した経験があり、友人や同僚もたくさんいるので、日本人と仕事すること自体には苦心しませんでした。一方で、私自身、そしてHikaや鈴木も会社設立の経験がなく、さらには海外子会社という要因も加わり、立ち上げの困難はそれは大きなものでした。

例えば日本で会社を設立する場合手続きは確立されていますが、フィリピンでは法的なルールや制約を弁護士に相談しても、当時は明確な回答がありませんでした。また、相談する人によって回答が違うことも多々あり、毎日が試行錯誤の日々でした。なんとか無事に会社設立の登録が完了した後は、トレーナーの育成やサービス開始に向けての整備をリリース日までに行っていくという限られた時間との戦いでした。

サービスを無事提供できた際は感慨無量でしたが、本当の意味での挑戦や課題はその先にありました。ミッションに掲げた「Creating true partnership」の実現のために、ビズメイツと連携を図りながらサービスを安定的に提供しながら拡充させていくことはとても長い道のりで、当時の私たちにとっては大きなチャレンジの始まりでした。 

‐事業拡大への転機となった出来事を教えてください

Minette:ビズメイツと共に当社も事業規模拡大をしてきましたが、いくつか会社として転機となった出来事があります。特に2016年はさまざまな変化があった年だったと思います。この年はムンティンルバ市に事務所を開設したり、Bizmatesのレッスン時間を拡大することでトレーナーにとっても柔軟な働き方が可能になったりするなど、今まで創業から行ってきた事業のステージが変化した年だと思っています。

当時フィリピンでは、出社型の働き方は安定性と長期的な成長へのビジョンの象徴でした。なぜなら在宅勤務がメインの働き方は副業的な意味合いが強く、一般的には“本格的な”キャリアとして世の中から認識されていなかったなかったため、出社型の象徴でもある事務所を開設しその事務所で働くということが従業員にとって、とても大きな意味をもっていたと思います。

また、この年にはトレーナーが500名を超え、企業としてより効率的に、そして生産性をあげて事業を運営していくことが必要となりました。従業員がコスト意識を日々持って仕事ができるようにするために、明確なKPI設定や社内プロセスの標準化に取り組みました。

会社の拡大に併せて人だけでなく、組織も変化させていかないといけないと、この頃から強く認識するようになりました。 

Bizmates Philippinesの変革と新たな挑戦

‐2019年に“Creating true partnership”から、新たなミッション“ビズメイツグループのミッションを達成するため、必要不可欠で最適なパートナーになる”へ再構築した背景を教えていただけますか?

Hika:日本のビズメイツがパブリックカンパニーへの転換を目指すことがきっかけです。実現のためには日本とフィリピンが足並みをそろえ、共に持続的に成長していく必要があり、ミッションの再構築に至りました。
以前であれば、とにかくコストを下げ、レッスンのクオリティーを上げる、そして優秀なトレーナーを採用する。それにより、受講生に対し価値のあるレッスンを提供するということが最重要でしたが、それだけではBizmates Philippinesがパブリックカンパニーへと転換していくことは実現できないと感じていました。コンプライアンスの強化はもちろん、システム開発をはじめとしたビズメイツが提供する各サービスのサポートも担うことになったため、ビズメイツの“最適なパートナー”になるというミッションを掲げました。  

‐ミッションを再構築するということは会社の目指すべきゴールを変えることだと思いますが、大きな方向転換に対する従業員の方々の反応はいかがでしたか?

Minette:創業当初は、当社のお客さまは「Bizmates」を受講する受講生と捉えていました。しかし、ビズメイツが事業を多角化することで、受講生には「Bizmates」だけ受講をしてもらう受講者という側面だけでなく、ビズメイツが提供している他のサービスも利用する可能性がある潜在顧客であると、会社全体で意識していかなければいけないと考えました。

ミッション変更前、2019年以前から、私たちはすでに、変化に対する適切なマインドセットを社員に身につけさせるように準備をしていました。特に勤続年数の長い社員は、会社の変化に対応できずに悩まされることや変化を受け入れられないこと多いのですが、サービスの“提供者”である自分たちに何が期待されているかを理解することが重要であるということをHikaと私は言い続けることで、社員に理解してもらえたと思っています。スムーズな移行ではありませんでしたが、この移行で最も困難なハードルを越えたと社員の日々の行動を見て実感をしました。 

Hika:日本と当社との連携は欠かせないのですが、日本とフィリピンでは言語や文化、法律も違います。その環境下で日本と同じコンプライアンスのレベルに合わせることは、大変苦労したと今でも思っています。特に、当時は私一人でフィリピンと日本のコミュニケーションを繋いでいたこともあり、日本が求めていることをフィリピンの社員に理解してもらうことが大変でした。そのギャップを埋めるため、Bizmates Philippinesの社員にビズメイツとのコミュニケーションに関するワークショップを行うといった取り組みの成果として、管理職を始めとし、メンバーレベルでも徐々にコミュニケーションがとれるようになりました。直接のコミュニケーションが実現したことで、パブリックカンパニー転換への共通認識を強く持ち、一体感が生まれてきていると実感しています。 

新ミッションと未来について

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-ビズメイツと共に始めた新しい取り組みや施策について具体的に教えてください。

Hika:事業としての取り組みは2つあります。1つは IT部門の立ち上げとビズメイツの各事業との連携強化による開発スピードの向上です。ビズメイツの成長をより加速させるためには、ITの力なくしては不可能なことです。現在、ビズメイツの各事業のサービスの開発には、Bizmates Philippinesのエンジニアが40名以上携わっています。
もう1つは「Bizmates」の商品開発です。2021年までは、ほとんど日本で教材を開発していましたが、2022年からはBizmates Philippinesに5名の商品開発チームを発足し、「Bizmates」の新しいコンテンツの開発に取り組みました。これにより、以前より速く、法人向けのカスタマイズ教材や、“Other Programs”という教材の作成が可能となりました。実際にトレーナーの育成にも関わっているので実践的かつ効果的な教材の提案が可能であり、その経験は当社の教材づくりに活かされています。 

Minette:連携を強化していく上ではスムーズなやり取りも欠かせないと思っています。ERP(※2)を導入し社内プロセスを合理化し、日本が必要とするレポートを以前よりずっと速く作成できるようになり、スピードと正確さに関して、より良いサポートを提供できるようになりました。

※2)ERPとは…組織が最適なパフォーマンスを発揮するために、中核となるビジネスプロセスを自動化・管理するためのソフトウェアシステムの一つ 

-Bizmates Philippinesの組織で今後特に力を入れていく部門について教えていただけますか?

Hika:NEW BUSINESSという部門です。
今までBizmates Philippinesはコストセンターとしての成長に注力してきましたが、今後は、日本のエンジニア不足において、ビズメイツの人材事業と連携し、フィリピンから日本に優秀なエンジニアを送り出すことで課題解決を図ることができると考えており、実現に向けて取り組んでいます。

日本とともにより良いサービスを目指していこうという視点をBizmates Philippinesのエンジニアたちに浸透させていきたいと思っています。

‐では最後に、創業から今まで変わっていないBizmates Philippinesならではの強みを教えてください。

Hika:“英語を教える”のではなく、“ビジネスパーソンがグローバルなビジネスで成功できる”ようにサポートすることを目的としているという考え方が強みです。トレーナーは受講生にとってビジネスパートナーであり、受講生が仕事で成功するためのサポートをします。

「Bizmates」のおかげで人生が変わったという受講生がたくさんいます。グローバル企業に再就職し、給料が大幅にアップしたという方や、海外で働く機会を得て、新しい人生をスタートさせた方もいます。「Bizmates」を利用して本当に良かったと、日本オフィスまで足を運んでくださる受講生もいらっしゃいます。私たちのトレーナーは、英語の先生ではなく、人生を変える人たちです。そして、これからも受講生の人生の変化をより多く生み出していきたいと考えています。

同様に私たちは、トレーナーの人生にも影響を与えています。当社がきっかけで人生が変わったというトレーナーはたくさんいます。初めて家を買うことができた、自分の子供を難関大学に進学させることができた、病気の家族を看病しながら在宅勤務を続けることができるようになったトレーナーもいます。私はトレーナーの皆さんから“当社が人生に与えた影響”についてメッセージをいただくと、この上ない喜びを感じます。これからもトレーナーの方々の人生を変えるような存在であり続けたいと思っています。 

-日本とフィリピン相互の価値を高め、持続的に成長していける人はどんな人でしょうか。

Hika:仕事の価値を高め、活躍するために、Bizmates Philippinesの職場カルチャーのスタンダードとなっている3つのバリューを大切にしています。1つ目は、“成長し続ける”です。社員がより良い自分に成長できるよう、チャレンジする機会を設けています。2つ目は、“建設的に対話する”です。個人でできることは限られています。一人ひとりが自分の気持ちを素直に表現し、ベストな解決策を模索することで、大きな変化が生まれます。そして3つ目は、“新しい価値を生み出す”です。私たち一人ひとりがあらゆることを改善しようと努力する。それが、私たちのビジネスに最大のインパクトを与えることができるのです。

私は“我々のビジネスに最大で最良のインパクトを与えるために何ができるのか”を常々考えています。これを実現するためには、会社の目標が何であるかを真に理解する必要があります。目標を明確に理解し、それを部門の目標、さらにチームや個人の目標に分解すると、自分が最も大きな影響を与えることができる領域が見えてくる。ですから、皆さんに持っていただきたいマインドは“ビジネスに最大のインパクトを与えるために、自分は何ができるのか”ということです。

このマインドを持ち、夢中で挑戦する人は、必ず持続的に成長していけると思います。  

Minette:社員には、期待される成果に対して、いかに付加価値をつけるかを常に考えることを期待しています。そのためには、先を読み、クライアントの立場に立ち、最高の仕事をするためにチャレンジし、会社のビジョンを明確に理解することが必要です。

また成長するためのマインドセットは、スピードが重要です。私は仕事でもプライベートでも、このことを実践しています。常に既成概念にとらわれない新しい方法を模索し、目標達成のために不慣れな土地を踏みしめ、痛みや失敗を経験しなければ、成長は実現しません。

“痛みなくして、得るものも成長もなし”このマインドを持てる人が成長できる人だと感じています。  

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